何故あなたはゼシカを使うべきなのか
2017年11月21日 TCG全般 コメント (16) 丸半年ぶりの更新だけどマジックの話題ではなくドラクエライバルズの話題である。もはや自分はマジックプレイヤーではなくドラクエおじさんになってしまっているのかもしれない……。
■ゼシカこそがベストリーダーである
さて、いきなり今回のエントリの結論ですが、タイトル通りです。現在のドラクエライバルズのランクマッチでまともに勝つ気があるのであればゼシカを使うべきです。ゼシカこそがベストリーダーです。現在のランクマッチ環境は既にゼシカに支配されており、ゼシカに対する怨嗟の声がネット上に溢れているほどですが、これはゼシカこそがベストリーダーである以上当然のことです。
これに対し、ゼシカばかりが大量にいるのは強さ以外の要因が大きいのではないかという反論があるかもしれません。他のリーダーのデッキを作ろうとすると大量のレジェンドカードが必要になりがちなのに対し、ゼシカのデッキはせいぜいわたぼうくらいしか必要なレジェンドカードがないので無課金でも組みやすい。そのためにゼシカは数が多いのではないか、と。
しかし、私は課金してかなり自由にデッキが組める状態にあるにも関わらず現在ランクマッチで使っているデッキはアグロゼシカです。これは色々と試した結果今はアグロゼシカを使うのが一番高い勝率を叩き出せると判断しているからであって、決して妥協の結果ではありません。また、自分の現在の順位はレジェ一桁台で上位陣とマッチングする機会も多いですが、やはり当たる相手もゼシカの割合が圧倒的に多いです。
カード資産というファクターを一切無視してどんなデッキでも自由に組めるという前提に立った上で、ゼシカはベストリーダーなのです。
では何故ゼシカはベストリーダーなのでしょうか。メラゾーマが強すぎるから? でも他のリーダーの固有カードにだって強いカードはいくつもありますよね。
実はその答えは「このゲームが超絶先手ゲーだから」なんです。そのことをこれから解説していきます。
■DQRは超絶先手ゲーである
ランクマッチをやり込んでいる人なら全員が同意できると思いますが、このゲームの構築戦はかなり先手が有利です。そのわかりやすい要因としては、亡者のひとだまや雷鳴の剣といった強力なカードを先に使えるということが挙げられます。先手が4ターン目に亡者のひとだまを出し、後手も返しで亡者のひとだまを出し返した場合、先手のひとだまだけが顔を攻撃し後手のひとだまは処理に回ることになり、1対1交換でありながら先手だけが5点分のライフアドバンテージを得る結果となってしまいます。もっと悪い場合はひとだまの前にブロッカーを置かれて処理に回ることすら許されなかったりもします。
しかし、何故先手が有利なのかの説明を「先に強いカードを使えるから」で終わらせてしまうのは片手落ちと言わざるを得ません。確かに先手には先手のアドバンテージがあります。しかし後手には後手のアドバンテージがきちんと用意されています。後手が持つアドバンテージが何故先手が持つアドバンテージを覆せないのか、本当に語るべきはそのことについてです。
■後手のアドバンテージその① テンション+2
DQRの開発者は後手のアドバンテージを2つ用意しました。そのうちのひとつが最初からテンションが2つ溜まった状態でゲームを始められるということです。これはつまり、後手はいきなり1コストでテンションスキルを使えるということです。
ゼシカのテンションスキルがメラミ相当、ピサロのテンションスキルがリザードマン相当であることからわかるように、各リーダーのテンションスキルは2コストのカードと同じくらいの強さに設定されています。
2コスト相当の強さの行動を1コストで使えるわけですから、実質的に後手は先手よりも1MP分多く使えるようなもので、これによってテンポの補正が図られています。
そう、図られている。しかし、「図られている」と「機能している」は別です。
まず第一にテンションスキルでテンポを取れないリーダーが存在します。
ゼシカとテリー、そしてピサロはわかりやすく盤面に干渉できるテンションスキルを持っています。トルネコも0コストの種によって戦闘を有利に進められることができる他に「手札6枚以上」の条件を達成しやすくなり、さきほど挙げた3リーダーほど直接的ではないもののテンションスキルを盤面上の優位を得るために活用できます。
しかし、ククール、ミネア、アリーナの3リーダーはそうではありません。これらのリーダーのテンションスキルは盤面上でほぼ何もしません。後手でライフや手札を増やしたところで相手が先手の利を活かして先に盤面を構築していくことに対してなんら影響を与えることができません。ククールはまだボーンバットやリトルライバーンと組み合わせたり、有利盤面になったときにそれを固定化したりといった具合に一応テンションスキルをテンポを得ることに利用可能ですが、ミネアとアリーナはひどいもんです。
このようなリーダーは先手が取れている間はいいものの後手になると全く勝てなくなります。ずっと後手後手に回る羽目になり、逆転できない。半分のゲームで圧倒的不利な立場でゲームしなければいけないわけですから、遠慮のない言い方をしてしまえば、使用に値しないリーダーだということです。このようなリーダーの存在が先手ゲーを後押ししています。
そして第二に、研究が進み相手にテンションスキルを上手く使わせない構築が一般化しています。
リリース初期のゼシカデッキにはよくメイジキメラが採用されていました。しかし最近では採用率が落ちています。テンポだと入っていることもありますが、アグロだともうほぼ採用されていません。
これは相手の、特にゼシカとテリーのテンションスキルを意識してのことです。メイジキメラは出すのに2コストかかりますが、後手が最初にテンションスキルを使うのには1コストしか必要ありません。2コストの行動が1コストの行動とトレードされてしまうと1コスト分損してしまう。序盤のその損はゲームを大きく不利にします。そのため今では採用率が落ちているのです。
現在採用率の高い2コストのユニットは、ドロヌーバ、イエローシックル、わたぼうの3種類です。これらはすべてゼシカとテリーのテンションスキルに耐性があります。ドロヌーバは確実に1回は行動できますし、イエローシックルはHPが4あるので3点では死なない。わたぼうは返しで除去されても自分だけ1ドローできているので損ではない。
確かに各リーダーのテンションスキルは額面上は2コスト相当の価値があります。しかし、実際のゲームにおいて相手との関係性の中できちんと2コスト分あるいはそれ以上の働きができるかというと話は別です。相手にケアされることによってテンションスキルは1コスト分の働きしかさせてもらえないということが現在ではかなり多くなっているのです。
この2点から、最初からテンション2つを持つという後手のアドバンテージが充分にテンポの補正として機能しているとは言い難い状況となっています。
■後手のアドバンテージその② 手札+1
DQRの開発者が用意したもうひとつの後手のアドバンテージは後手のほうが先手よりも初手が1枚多いというものです。
しかし、これがどれだけ活きるのか。
まずかなり全体的に軽くまとめたデッキでない限り、要するにミッドレンジ以降のデッキの場合、ゲームの決着時に手札を使い切っているということは稀です。手札が1枚くらい多いところであまり影響は大きくない。
手札が足りなくなるタイミングというのはかなりの終盤ですが、構築戦でそこまでゲームが長引くことというのはそう多くありません。
もしも後手のほうが先手よりもより多くのMPを使えるようなシステムが用意されていれば手札の多さもいくらか活かしやすかったんですが、このゲームにそんな都合のいいものは存在しません。
そして当然、手札の多さはテンポの補正にほぼ貢献しません。手札が多いところで先手の持つ圧倒的なテンポの優位に対抗することはできないのです。
■それでも後手で戦うために
と、ここまで何故DQRの構築戦は先手ゲーなのか、後手に与えられたアドバンテージは充分な補正として機能していないのかについて見てきました。
結論として、後手に与えられた2つのアドバンテージはどちらもいまいち機能していませんでした。
しかし、ゲームの半分は後手で戦わなければなりません。となれば、少しでも後手のアドバンテージを活かせるように心がける必要があるということです。
まず後手のアドバンテージその① テンション+2。
これを最大限活かすには少しでもテンションスキルの強いリーダーを使う必要があります。テンションスキルが最も強いリーダーはゼシカ、二番手はテリーです。
そして後手のアドバンテージその② 手札+1。
これはミッドレンジ以降の重いデッキではあまり活かすことができません。これを活かすにはデッキを軽くまとめることです。
毎ターン1枚ずつしかカードを使わないようなデッキでは手札の多さはテンポの補正にほぼ貢献しませんが、デッキ全体が軽く頻繁に1ターンのうちに複数アクションするようなデッキであれば手札が多かったがゆえにテンポよく動けたということが現実的に起きます。コストが「2,3,4」の手札が「2,3,3,4」になったところで別に動きがよくはなりませんが、「1,1,2」の手札が「1,1,1,2」になったら動きはだいぶ変わります。
なので、デッキが軽く手札消費が激しい、わたぼうを採用するようなデッキこそがこの後手は手札が多いというアドバンテージを活かせるのです。
はっきり言って先手が取れている限りにおいてはどのリーダーも強いです。先手時の強さに各リーダー間にそれほど大きな格差があるとは思っていません。
問題となるのは後手のときにどれだけ勝てるかです。ここには大きな格差があります。後手で最も戦えるリーダーこそがベストリーダーです。
そして後手に与えられたアドバンテージを活かせる、後手で戦いやすいデッキの条件は、①テンションスキルが強いこと ②わたぼうが採用されるような軽いデッキであること でした。
この2条件を満たすデッキは世界に2つだけしか存在しません。アグロゼシカとテンポゼシカです。
つまり、ゼシカこそがベストリーダーなのです。
もしもあなたがランクマッチでまともに勝ちたいと考えているなら、使うべきはゼシカデッキです。
■ゼシカの支配を終わらせるには
今現在ランクマッチはゼシカに支配されていますし、ここまで書いてきたようにゼシカが優れているのには理由があります。
そうなると今度は考えたくなってしまうのがナーフです。ゼシカは強すぎるからなにかしらのナーフをするべきなのではないか。実際、ネット上にはメラゾーマやテンションスキルをナーフすべきだという意見がたびたび書き込まれています。
しかし、私はメラゾーマやテンションスキルをナーフすべきだという意見には同意しません。
仁王立ちやウォールを飛び越えて火力で相手を倒すことが得意だというのは魔法使いの個性であり、まさに火力を顔に打ち込む瞬間こそが使っていて最も気持ちのいい瞬間です。こういった個性が薄まってしまうような調整はあまりゲームを面白くするとは思えません。強みを潰して平均化させることでバランスを取るよりも、それぞれのリーダーの異なる強みがハイレベルにぶつかり合うことでバランスを取ることを目指してほしいと思います。
私の考えるベストな調整は、ゼシカのナーフではなくルールの変更です。
後手に与えられたテンション+2を廃止しコインを導入するべきです。
上で見たように、テンションスキルの強さは後手での戦いやすさに直結しており、その部分での格差がためにゼシカは最強リーダーとなっています。
もしもテンションスキルを先手後手の補正に絡めるのをやめたら、現在テンションスキルが弱く後手でまともに戦えないために使用に値しないリーダーが大きく地位を向上させることとなります。
そして後手がゲーム中に使えるテンションスキルの回数がおおむね1回減ることになるのでテンションスキルの強いリーダーは相対的に弱くなるでしょう。
そのため、特にカードやテンションスキルをナーフしなくてもゼシカは現在の支配的な地位から降りることとなるはずです。
また、そうすることによって先手ゲーも解消されるでしょう。上で書いたようにDQRは2コスト相当の強さのテンションスキルを後手は1コストで使えるということでテンポの補正を図っていますがそれがきちんとテンポの補正として機能できるかは不確定です。一方コインは確実にテンポの補正として機能します。後手が先に亡者のひとだまを出すことも可能になります。
ハースストーンの丸パクリっぽくなるのを避けたい気持ちはわかるんですが、テンションによって先手後手のバランスを取ろうという試みはゲームバランス的には大失敗していると思います。ここに手を入れずにどうにかバランスを良くしようと努力しても土台がおかしいところを表面だけ小手先でなんとかしようとするようなものであまり良い結果にはならないでしょう。諦めてコインを導入するのが最善のように思います。
■ゼシカこそがベストリーダーである
さて、いきなり今回のエントリの結論ですが、タイトル通りです。現在のドラクエライバルズのランクマッチでまともに勝つ気があるのであればゼシカを使うべきです。ゼシカこそがベストリーダーです。現在のランクマッチ環境は既にゼシカに支配されており、ゼシカに対する怨嗟の声がネット上に溢れているほどですが、これはゼシカこそがベストリーダーである以上当然のことです。
これに対し、ゼシカばかりが大量にいるのは強さ以外の要因が大きいのではないかという反論があるかもしれません。他のリーダーのデッキを作ろうとすると大量のレジェンドカードが必要になりがちなのに対し、ゼシカのデッキはせいぜいわたぼうくらいしか必要なレジェンドカードがないので無課金でも組みやすい。そのためにゼシカは数が多いのではないか、と。
しかし、私は課金してかなり自由にデッキが組める状態にあるにも関わらず現在ランクマッチで使っているデッキはアグロゼシカです。これは色々と試した結果今はアグロゼシカを使うのが一番高い勝率を叩き出せると判断しているからであって、決して妥協の結果ではありません。また、自分の現在の順位はレジェ一桁台で上位陣とマッチングする機会も多いですが、やはり当たる相手もゼシカの割合が圧倒的に多いです。
カード資産というファクターを一切無視してどんなデッキでも自由に組めるという前提に立った上で、ゼシカはベストリーダーなのです。
では何故ゼシカはベストリーダーなのでしょうか。メラゾーマが強すぎるから? でも他のリーダーの固有カードにだって強いカードはいくつもありますよね。
実はその答えは「このゲームが超絶先手ゲーだから」なんです。そのことをこれから解説していきます。
■DQRは超絶先手ゲーである
ランクマッチをやり込んでいる人なら全員が同意できると思いますが、このゲームの構築戦はかなり先手が有利です。そのわかりやすい要因としては、亡者のひとだまや雷鳴の剣といった強力なカードを先に使えるということが挙げられます。先手が4ターン目に亡者のひとだまを出し、後手も返しで亡者のひとだまを出し返した場合、先手のひとだまだけが顔を攻撃し後手のひとだまは処理に回ることになり、1対1交換でありながら先手だけが5点分のライフアドバンテージを得る結果となってしまいます。もっと悪い場合はひとだまの前にブロッカーを置かれて処理に回ることすら許されなかったりもします。
しかし、何故先手が有利なのかの説明を「先に強いカードを使えるから」で終わらせてしまうのは片手落ちと言わざるを得ません。確かに先手には先手のアドバンテージがあります。しかし後手には後手のアドバンテージがきちんと用意されています。後手が持つアドバンテージが何故先手が持つアドバンテージを覆せないのか、本当に語るべきはそのことについてです。
■後手のアドバンテージその① テンション+2
DQRの開発者は後手のアドバンテージを2つ用意しました。そのうちのひとつが最初からテンションが2つ溜まった状態でゲームを始められるということです。これはつまり、後手はいきなり1コストでテンションスキルを使えるということです。
ゼシカのテンションスキルがメラミ相当、ピサロのテンションスキルがリザードマン相当であることからわかるように、各リーダーのテンションスキルは2コストのカードと同じくらいの強さに設定されています。
2コスト相当の強さの行動を1コストで使えるわけですから、実質的に後手は先手よりも1MP分多く使えるようなもので、これによってテンポの補正が図られています。
そう、図られている。しかし、「図られている」と「機能している」は別です。
まず第一にテンションスキルでテンポを取れないリーダーが存在します。
ゼシカとテリー、そしてピサロはわかりやすく盤面に干渉できるテンションスキルを持っています。トルネコも0コストの種によって戦闘を有利に進められることができる他に「手札6枚以上」の条件を達成しやすくなり、さきほど挙げた3リーダーほど直接的ではないもののテンションスキルを盤面上の優位を得るために活用できます。
しかし、ククール、ミネア、アリーナの3リーダーはそうではありません。これらのリーダーのテンションスキルは盤面上でほぼ何もしません。後手でライフや手札を増やしたところで相手が先手の利を活かして先に盤面を構築していくことに対してなんら影響を与えることができません。ククールはまだボーンバットやリトルライバーンと組み合わせたり、有利盤面になったときにそれを固定化したりといった具合に一応テンションスキルをテンポを得ることに利用可能ですが、ミネアとアリーナはひどいもんです。
このようなリーダーは先手が取れている間はいいものの後手になると全く勝てなくなります。ずっと後手後手に回る羽目になり、逆転できない。半分のゲームで圧倒的不利な立場でゲームしなければいけないわけですから、遠慮のない言い方をしてしまえば、使用に値しないリーダーだということです。このようなリーダーの存在が先手ゲーを後押ししています。
そして第二に、研究が進み相手にテンションスキルを上手く使わせない構築が一般化しています。
リリース初期のゼシカデッキにはよくメイジキメラが採用されていました。しかし最近では採用率が落ちています。テンポだと入っていることもありますが、アグロだともうほぼ採用されていません。
これは相手の、特にゼシカとテリーのテンションスキルを意識してのことです。メイジキメラは出すのに2コストかかりますが、後手が最初にテンションスキルを使うのには1コストしか必要ありません。2コストの行動が1コストの行動とトレードされてしまうと1コスト分損してしまう。序盤のその損はゲームを大きく不利にします。そのため今では採用率が落ちているのです。
現在採用率の高い2コストのユニットは、ドロヌーバ、イエローシックル、わたぼうの3種類です。これらはすべてゼシカとテリーのテンションスキルに耐性があります。ドロヌーバは確実に1回は行動できますし、イエローシックルはHPが4あるので3点では死なない。わたぼうは返しで除去されても自分だけ1ドローできているので損ではない。
確かに各リーダーのテンションスキルは額面上は2コスト相当の価値があります。しかし、実際のゲームにおいて相手との関係性の中できちんと2コスト分あるいはそれ以上の働きができるかというと話は別です。相手にケアされることによってテンションスキルは1コスト分の働きしかさせてもらえないということが現在ではかなり多くなっているのです。
この2点から、最初からテンション2つを持つという後手のアドバンテージが充分にテンポの補正として機能しているとは言い難い状況となっています。
■後手のアドバンテージその② 手札+1
DQRの開発者が用意したもうひとつの後手のアドバンテージは後手のほうが先手よりも初手が1枚多いというものです。
しかし、これがどれだけ活きるのか。
まずかなり全体的に軽くまとめたデッキでない限り、要するにミッドレンジ以降のデッキの場合、ゲームの決着時に手札を使い切っているということは稀です。手札が1枚くらい多いところであまり影響は大きくない。
手札が足りなくなるタイミングというのはかなりの終盤ですが、構築戦でそこまでゲームが長引くことというのはそう多くありません。
もしも後手のほうが先手よりもより多くのMPを使えるようなシステムが用意されていれば手札の多さもいくらか活かしやすかったんですが、このゲームにそんな都合のいいものは存在しません。
そして当然、手札の多さはテンポの補正にほぼ貢献しません。手札が多いところで先手の持つ圧倒的なテンポの優位に対抗することはできないのです。
■それでも後手で戦うために
と、ここまで何故DQRの構築戦は先手ゲーなのか、後手に与えられたアドバンテージは充分な補正として機能していないのかについて見てきました。
結論として、後手に与えられた2つのアドバンテージはどちらもいまいち機能していませんでした。
しかし、ゲームの半分は後手で戦わなければなりません。となれば、少しでも後手のアドバンテージを活かせるように心がける必要があるということです。
まず後手のアドバンテージその① テンション+2。
これを最大限活かすには少しでもテンションスキルの強いリーダーを使う必要があります。テンションスキルが最も強いリーダーはゼシカ、二番手はテリーです。
そして後手のアドバンテージその② 手札+1。
これはミッドレンジ以降の重いデッキではあまり活かすことができません。これを活かすにはデッキを軽くまとめることです。
毎ターン1枚ずつしかカードを使わないようなデッキでは手札の多さはテンポの補正にほぼ貢献しませんが、デッキ全体が軽く頻繁に1ターンのうちに複数アクションするようなデッキであれば手札が多かったがゆえにテンポよく動けたということが現実的に起きます。コストが「2,3,4」の手札が「2,3,3,4」になったところで別に動きがよくはなりませんが、「1,1,2」の手札が「1,1,1,2」になったら動きはだいぶ変わります。
なので、デッキが軽く手札消費が激しい、わたぼうを採用するようなデッキこそがこの後手は手札が多いというアドバンテージを活かせるのです。
はっきり言って先手が取れている限りにおいてはどのリーダーも強いです。先手時の強さに各リーダー間にそれほど大きな格差があるとは思っていません。
問題となるのは後手のときにどれだけ勝てるかです。ここには大きな格差があります。後手で最も戦えるリーダーこそがベストリーダーです。
そして後手に与えられたアドバンテージを活かせる、後手で戦いやすいデッキの条件は、①テンションスキルが強いこと ②わたぼうが採用されるような軽いデッキであること でした。
この2条件を満たすデッキは世界に2つだけしか存在しません。アグロゼシカとテンポゼシカです。
つまり、ゼシカこそがベストリーダーなのです。
もしもあなたがランクマッチでまともに勝ちたいと考えているなら、使うべきはゼシカデッキです。
■ゼシカの支配を終わらせるには
今現在ランクマッチはゼシカに支配されていますし、ここまで書いてきたようにゼシカが優れているのには理由があります。
そうなると今度は考えたくなってしまうのがナーフです。ゼシカは強すぎるからなにかしらのナーフをするべきなのではないか。実際、ネット上にはメラゾーマやテンションスキルをナーフすべきだという意見がたびたび書き込まれています。
しかし、私はメラゾーマやテンションスキルをナーフすべきだという意見には同意しません。
仁王立ちやウォールを飛び越えて火力で相手を倒すことが得意だというのは魔法使いの個性であり、まさに火力を顔に打ち込む瞬間こそが使っていて最も気持ちのいい瞬間です。こういった個性が薄まってしまうような調整はあまりゲームを面白くするとは思えません。強みを潰して平均化させることでバランスを取るよりも、それぞれのリーダーの異なる強みがハイレベルにぶつかり合うことでバランスを取ることを目指してほしいと思います。
私の考えるベストな調整は、ゼシカのナーフではなくルールの変更です。
後手に与えられたテンション+2を廃止しコインを導入するべきです。
上で見たように、テンションスキルの強さは後手での戦いやすさに直結しており、その部分での格差がためにゼシカは最強リーダーとなっています。
もしもテンションスキルを先手後手の補正に絡めるのをやめたら、現在テンションスキルが弱く後手でまともに戦えないために使用に値しないリーダーが大きく地位を向上させることとなります。
そして後手がゲーム中に使えるテンションスキルの回数がおおむね1回減ることになるのでテンションスキルの強いリーダーは相対的に弱くなるでしょう。
そのため、特にカードやテンションスキルをナーフしなくてもゼシカは現在の支配的な地位から降りることとなるはずです。
また、そうすることによって先手ゲーも解消されるでしょう。上で書いたようにDQRは2コスト相当の強さのテンションスキルを後手は1コストで使えるということでテンポの補正を図っていますがそれがきちんとテンポの補正として機能できるかは不確定です。一方コインは確実にテンポの補正として機能します。後手が先に亡者のひとだまを出すことも可能になります。
ハースストーンの丸パクリっぽくなるのを避けたい気持ちはわかるんですが、テンションによって先手後手のバランスを取ろうという試みはゲームバランス的には大失敗していると思います。ここに手を入れずにどうにかバランスを良くしようと努力しても土台がおかしいところを表面だけ小手先でなんとかしようとするようなものであまり良い結果にはならないでしょう。諦めてコインを導入するのが最善のように思います。
コメント
あれだけで先手後手勝率がほぼ5分になるという
”2コストの行動が1コストの行動とトレードされてしまうと1コスト分損してしまう”くだりが、私の頭では理解できませんでした。
スクエニが持ってるだろうからそれを添えて修正検討を俎上にのせてほしいね
というかほんともうコインでいいよ…w
オリジナルにこだわりたくなる気持ちもわかるけど。
DQ自体は全体的に非常にいい出来だと思ってるのでこれではもったいない。
「ちいさなメダル」にすればそれっぽいし
自分が何となく感じていて、でも言語化できないモヤモヤしたものを
読みやすく分かりやすく書かれていて、とてもスッキリしました
ありがとうございました
テンションスキル+3の状態で後手をスタートさせたら後手が強すぎますかね?
テンション+3で開始にしたら、ゼシカやテリーが更に強くなり、アリーナやミネアが更に負けやすくなるだけでしょ。
DQファンなので始めました。DCGは初めてです。
私のようにDCGなんてやったことない勢を多く引き込めたことには成功したと思うので
定着させるためにもゲームシステムの偏りを失くして、より面白いゲームになるよう運営さんには頑張って欲しいですね。